機関誌の要約情報を掲載します

題目
「小数のかけ算」に関する教師の不十分な意味理解と教員養成系学生への援助
概要
小学生にとって小数のかけ算の意味を理解することが困難であることは,これまで多くの教師や研究者が報告してきた。そしてその原因としては,小学生がかけ 算の意味を同数累加と考えていることが指摘されてきた。われわれは,かけ算についての教師の不適切な理解が児童の困難を引き起こしているのではないかと考 えた。研究Iでは,小学校教師が小数のかけ算の意味をどのように把握しているかを調べた。2つの問題を出題した。1つは,3.2×4.6の計算によって答 えを出す文章題を作ることであった。もう1つは,2.7を3.6回足すとはどういうことだろうと考えて分からなくなっている児童に,2.7×3.6の意味 を説明するという問題であった。最初の問題では約70パーセントの教師が適切な解答をしたが,第2の問題に関しては16パーセントに留まった。研究IIで は,かけ算の意味を教える読み物を作成し、それを用いて教員養成系の学生に教授活動を行った。高い効果が確認されたので、読み物で用いられた教授方針が全 体として有効であることが確認された。

第1巻

第1号
著者
麻柄啓一,進藤聡彦
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