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題目

中学校理科における力の合成・分解ルールの適用を促す教授法の検討

概要

本研究の目的は,中学校第3学年で学習する力の合成・分解ルールの適用を促進するための授業プランを作成し,その効果について実践的に検討することである。プランは,①操作可能性の高いルール及び逆操作型発問を取り入れること,②上位ルールによって,合成ルール及び分解ルールの相違点・共通点をより明確にするという方針により作成した。プランの効果を見るために,事後評価課題,及び授業過程を分析した。公立中学校3年生83名(プラン群)を対象に実施した結果,事後評価課題では,合成・分解ルールを適用する活用問題において,教科書に基づいた授業を実施したクラスよりもプラン群の正答率が高かった。しかし,一部の問題を除き,プラン群も活用課題の正答率が5割程度にとどまり,合成と分解を混同した誤りが一定数見られたことから,プランの有効性は限定的であった。この要因を探るため,授業過程を分析したところ,逆操作型発問が授業で取り上げられた一方で,上位-下位ルール間の階層関係に関する説明及びルール命題の後件全体に関する発問が十分ではなかったことが,下位ルール間の共通点・相違点の理解の深化を抑制した可能性が示唆された。


第16巻

第1号
著者
蛯名正司、小野耕一、宮田佳緒里
【キーワード】
力の合成・分解ルール,操作可能なルール,逆操作型発問,上位ルール,中学校3年生