機関誌の要約情報を掲載します

題目
算数学習におけるグループによる協同問題解決の様相の事例的検討協同と問題解決のプロセスによる解釈的分析
概要
本研究は,鈴木(2019)を再検討し,OECD2017)の協同問題解決の枠組みに依拠し,算数学習におけるグループによる協同と問題解決それぞれのプロセスと活動を示し,両プロセスと活動を評価の枠組みとして,事例を再検証した。協同のプロセスと活動は,3つの主要な協同問題解決能力(collaborative problem-solving competency)に基づき,問題解決のプロセスと活動は,算数の教授方略である「練り上げ」に基づき構成した。検証は,小学校5年算数「直角三角形の面積」の学習における抽出グループの対話事例を,協同と問題解決の両視点から再検証し,対話の参加状況,対話の関わり,理解深化の過程を分析した。その結果,協同の活動をしながら問題解決の活動を進め,参加者全員が対話で関わり合い,認知レベルの差や考えの多様性に応じた対話が認められ,相互作用による理解深化の過程が明らかになった。理解深化の過程では,課題遂行とモニタの役割交代の他,前の発話内容に拡張,統合,精緻化する意見を繋ぐ対話の連鎖による相互作用が認められた。また,参加者の協同問題解決能力に基づく協同のスキルの発揮により,児童が主体的にグループ学習を運営し協同問題解決を進めたことが認めれらた。

第16巻

第2号
著者
鈴木 正則
【キーワード】
協同問題解決,協同のプロセス,問題解決のプロセス,建設的相互作用,対話分析