機関誌の要約情報を掲載します

題目

分数乗法の授業内容の構想と実践

―― 答を見つけてから計算の仕方と意味を考えさせる展開 ――

概要

本稿は,分数乗法(6年生)の授業内容の構想と実践について報告している。教師用指導書の他,多くの先行研究では【①立式→②図で計算の仕方とその意味を併せて考える→③答】という展開Ⅰが採られる中,麻柄(1984)は【㋐立式→㋑図で答を見つける→㋒計算の仕方を考える】という展開Ⅱを提案していた。本授業内容は導入の質問12の後,展開Ⅱに基づく問題123,「㋓図で計算の仕方の意味を考える」を加えた展開Ⅲに基づく問題4で構成されている。分数乗法の既習者34名を対象に行ったその授業記録において,展開Ⅱ・Ⅲに基づく発問に対して児童は思考できて,問題4では㋓に到達した。事後質問における児童の自己省察では,1)計算の仕方の意味理解(㋓)が得られたことが9名(26%)に,2)理解の対象が定かではないながら,本授業によって分数乗法の理解が進んだことが24名(71%)に示されていた。(31名(3%)の省察は感想に留まっていた。この成果が分数乗法の計算の意味理解に裏打ちされているのか,この点を児童個々に検証するための事前事後質問の内容を,本稿は今後の課題として最後に提示している。


第18巻

第1号
著者
梶原郁郎
【キーワード】
分数乗法,立式,答を見つける図,計算の仕方,計算の仕方の意味