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題目

幼児の造形表現の共同制作における合意形成の援助が見立ての学習に及ぼす効果

概要

造形表現の共同制作における学習効果を高めることを目的として,ペアで制作する作品の合意に向けた話し合いの際,相手の見解の背景にある知識に着目させ,その妥当性の確認を行うように導く援助を行った。幼稚園年長児75名を共同制作において援助を受けるペア援助群と援助を受けないで自由に話し合うペア統制群,個人制作群に分けた。制作課題は型紙の見立てと描画で絵をつくる見立て描画であった。援助の事前と事後の個別制作において,作品に適用された表現方略の水準と構成要素数の変化を比較した結果,ペア援助群は他群に比べて表現方略の水準が向上し,構成要素数が増加した。共同制作の話し合いの分析では,ペア援助群がペア統制群に比べ,見立ての構想に着目した発話ターン数と相手の見立ての構想に対する提案の生起数が多かった。このことから,本研究の合意形成の援助によって知識の再構成が生じ,見立ての学習を促したと推察された。


第18巻

第2号
著者
渡邉雅俊
【キーワード】
造形表現,共同制作,合意形成,見立て,幼稚園児