機関誌の要約情報を掲載します
題目
代入操作発問が弾性ルールの適用に及ぼす効果
概要
本研究の目的は,知識操作を促す発問を取り入れた授業が,学習者の弾性ルールの適用に及ぼす効果を検討することである。授業では,中学生を対象に,弾性をもたないと思われる物体を予測させ,ガラス棒に弾性があることを確認させる実験を行った。授業の効果を検証するために,事前調査と事後調査を実施し,弾性ルールの代入操作課題とフックの法則判断課題に解答を求めた。事後調査の結果,実験群の代入操作課題の得点が上昇したことから,代入操作発問により多様な固体に弾性変形を認める割合が高まり,授業は弾性ルールの適用判断に一定の効果をもつことが推察された。しかし,フックの法則判断課題では,のびと曲がり事例以外の変形事象について,学習者の半数以上が力と物体の変形量に比例関係が成り立つとまでは考えていないことが明らかとなった。その原因を授業記録から分析したところ,実験場面での教師からの問い返しが不足したために,弾性とフックの法則の間にある力と変形量の比例関係を想定できなかった可能性が示唆された。
巻
第19巻
号
第1号
著者
小野 耕一
【キーワード】
知識操作,弾性,フックの法則,中学生