機関誌の要約情報を掲載します

題目

動物の体のつくりと暮らしに関する「ルール・システム」の

理解を目指した授業開発

――中学校理科における動物頭骨標本を活用した授業実践を通して

概要

本研究の主目的は,生徒が動物に関連する複数のルールを理解し,関連づけてシステム化させることを促進するために,頭骨標本教材を活用した援助法の効果を検討すること,例外が存在してもきまりとして役に立つというルール観をどの程度持てるかを検討することであった。

中学校理科の授業において2つの実践を行い,生徒が複数のルールを組織化し得るのかを実証した。分析対象者は,実践1が中学2年生31名,実践2が中学2年生25名であった。2つの実践は,事前調査,動物の頭骨標本を活用してルール・システムとしての理解を目指した研究授業,事後調査という構成であった。実践2では,実践1をふまえた主たる改善点として,動物の形が生活に適していると生活にどんな利点が生まれるかの発問が追加されていた。調査結果より,動物概念の「内包」の側面に関して,「体のつくりと暮らし」のルールが関連づけられやすくなること,課題状況に合わせて学んだルールを活用して「自己制御」しやすくなることが示唆され,ルール・システムの構築の可能性が論じられた。ルールの例外をさらなるルールを探究するための足場として利用する工夫を示した意義についても論じた。


第19巻

第1号
著者
吉國 秀人  内藤 傑  植原 俊晴
【キーワード】
ルール・システム,関連づけ,授業研究,中学校理科