機関誌の要約情報を掲載します

題目
小学生の「三態変化」に関する認識変容の様相-水以外の物質を含めた教授活動前後の比較を通して-
概要
本研究では,「物質が三態変化する(個体⇔液体⇔気体)」というルールの学習場面を取り上げた。本研究の仮説は,仮説1「授業前の小学生においては,物質の状態変化に関する誤認識が認められるだろう」,仮説2「水以外の物質を含めて三態変化を教授することにより,状態変化に関する誤認識が修正されるだろう」であった。これらの仮説を検証するために,小学4年生32名を対象に,事前調査,教授活動・事後調査が実施された。その結果,以下のような結果が得られた。(1)事前調査時には「加熱しても液体にも気体にも変化しない」などの誤認識を有していた。(2)「加熱すれば液体へ変化し,さらに強く加熱すれば気体へと状態は変化する」という認識へ,誤認識が修正された。(3)水の三態に関する理解も十分なされた。(4)全体の54%の者が,ルール「物は三態変化する」を一貫して適用できるようになり「ルール理解者」とみなされた。これらの結果から,仮説1ののみが支持され,「気体への変化」に関するプラン改善の必要性が考察された。

第3巻

第1号
著者
吉國秀人,生田国一
【キーワード】
三態変化,ルール,教授活動,小学生,誤認識