機関誌の要約情報を掲載します

題目
植物の分類枠組みを利用した誤った知識の修正
概要
チューリップは普通球根を植えることが多いため,チューリップにたねはできないと考える学習者が多い。麻柄(1990)はたねができるにもかかわらず球根を植える理由を説明することで,このような誤概念が修正されや すくなることを明らかにした。しかしその効果はチューリップに限定的であり,ヒヤシンスやジャガイモに関してはたねができないという判断が残った。本研究では麻柄(1990)の説明に加え,植物は種子で増える植物(種子植物)と,胞子で増える植物(胞子植物)の2種類からなるという分類枠組みを提示することの効果を検討した。その結果,チューリップに限定されず,ヒヤシンスやジャガイモ等にもたねができるという判断が大幅に増えた。「分類枠組み」と 「チューリップではたねができるにもかかわらず球根を植える理由」の説明がそれぞれ学習者の思考プロセスをどう援助しているかを考察した。

第4巻

第2号
著者
有竹勇人, 蒔田俊介
【キーワード】
誤った知識,概念変化,種子植物,分類枠組み,大学生