機関誌の要約情報を掲載します

題目
興味の深化を促す授業方略の検討-ポジティブ感情と価値の認知に着目して-
概要
中学2年生を対象にした授業場面において,興味の二つの側面であるポジティブ感情と価値の認知に着目し,興味の深化を促すための介入の効果を検討した。本研究では理科の授業を扱うことから,価値の中でも,「学習内容は日常生活と関連がある」という認識である日常関連価値の認知に焦点を当てた。実験1では,授業の導入時に意外な結果が生じる実験を提示してポジティブ感情を喚起し,「これから学ぶ内容を理解すれば結果を説明できるようになる」と具体的な達成目標を示して積極的授業参加を促進した。すると,日常関連価値の一般化強調の効果が引き出されることが示された。実験2では,日常関連価値への介入には,生徒の意味理解志向による調整効果があることが示された。すなわち,日常例の提示と日常関連価値の一般化の強調だけでは意味理解志向の低い生徒には不十分であることが示された。日常場面の問題を自分で解き説明する活動を加えることで,意味理解志向の高低に関わりなく,日常関 連価値の認知が効果的に高まることが示唆された。

第9巻

第1号
著者
田中瑛津子
【キーワード】
興味,ポジティブ感情,日常関連価値,理科教育,適性処遇交互作用